もののけ探険隊 【DAY6】新鮮な鹿肉はシンプルに焼いて食べる。 2017/10/13

 宮之浦にヤクニク屋という鹿肉を屋久島で唯一精肉している場所があります。屋久島の焼肉屋などで流通している鹿肉(ヤクニク)はここヤクニク屋で精肉されています。屋久島の特産ともいえる鹿肉がまずどのように獲られているのか、屋久島在住で猟師の免許もお持ちの「斉藤 俊浩」さんが仕掛けた罠の見周りに同行させてもらえることになりました。

もともと千葉在住の斉藤さんは都会の喧騒を離れ、宮之浦から15分程北上した山の村落に住まわれています。自宅の周りにはご自身の畑や鶏小屋があり、自然と共存し自給自足のライフスタイルを垣間見ました。罠を仕掛けたのは、斉藤さんのご自宅の裏山。今年でいうと、年間5匹かかるかかからないかといった位の頻度で獲れるとの事です。あいにくこの日は鹿はかかっていませんでした。「鹿をとるのは食べるのが目的ではないからね。」と語る斉藤さん。

屋久島の鹿は、諸説ありますが、3万頭近く生息していると推定されています。屋久島の人口が1.2万人前後、人の2倍以上の頭数がいることになります。屋久島の面積におけるシカ密度は超過密状態であるのは自明の事実。屋久島の鹿は人と共に入島し、島には鹿を襲うような天敵もいません。それはヤクシカがとても小型な亜種とした進化した点からも見てとれます。ヤクシカの過度な増加は人と屋久島の生態系に大きな影響を及ぼします。タンカンやポンカンの果樹の樹皮を食べてしまうといった農業被害、下層植生や落葉等 の過剰な採食よる屋久島の生態系や生物多様性への被害など。人間のコントロールは不可欠な状況が屋久島にはあります。捕獲されているヤクシカの年間頭数は4,000頭。そのうち1/10程がヤクニク屋で精肉されます。ではのこり9/10はどうなるのか? それらは、地中に埋められたりする形で処分されることになるそうです。もったいないと思われる方も多いと思いますが、そこにはいくつか理由があります。そもそもヤクシカは年間20%増えるらしいです。現状でさえ過度な増加が問題になっているのに、人間が獲らなければ屋久島の自然は食べつくされ裸の岩山になってしまいます。それでは鹿を獲る理由があったとしても、4,000頭をちゃんと食べられるようにしたらいいではないかと思う方もいると思いますがが、これが食肉のシビアなところです。精肉作業は鮮度が命。しっかりと締め、体に血が回らないように処理をしないと肉は臭く食肉に適さなくなります。人里離れた山奥で仮に鹿が獲れたとして、それをどうやって運ぶか想像してみて下さい。車もない、人手もない場所でそれを運ぶのは物理的に不可能な場合の方が多いです。やらないのではなく、できないという事情があるようです。

話は鹿の獲り方に戻って、斉藤さんの猟の方法は「くくり罠」を用いたわな猟。主なヤクシカの捕獲手法は、わな猟と猟犬(ヤクイヌ)を用いた銃猟の2つがあるらしいです。捕獲数の大半はわな猟での捕獲との事。仕掛けの方法ですが、まずは鹿の通り道や出没箇所を見分ける。通り道を見分けるには、いくつかコツがあります。鹿の糞や足跡の痕跡がないか? 鹿の好みが植物が生えている場所か? といった特徴を見極めます。次にその場所が捕獲に適しているかも見極めます。傾斜が少なく道幅が狭い方が捕獲しやすいといったポイントもあるようです。

実際に斉藤さんには罠の仕掛け方も実演してもらいました。非常なシンプルな罠です。しっかりと土や、草枝でカモフラージュしないと鹿も警戒心が高いため掛からないようです。そして、狩猟のルールをしっかり守り、人が誤っても怪我をしないような配慮をしていました。

斉藤さんはご自身でミツバチも飼われています。小さい箱にミツバチが群れているのを見ながら満面の笑みで「かわいいでしょ?」とつぶやく姿を見ながら、この人は自然と生き物が好きなんだと感じました。

下山後、お昼を挟んで実際に精肉作業を拝見しました。すでに鹿の皮は剥ぎ取られ、血抜きも施され、内臓もすべて取り除かれていました。ですが鹿の姿は残った状態です。綺麗な赤みの肉が見て取れます。斉藤さん含め3人の職人が手際よく鹿を柵肉の状態に加工していきます。ものの30分ほどでほぼ各部位ごとに切り分けられました。あとは真空パックをほどこし、空気に触れないよう鮮度を保ち、食卓に並びます。屋久島でとれる鹿肉はほぼ屋久島内で消費されるようです。そして捨てる部位がまったくなく、人が食べるものだけではなく、ペット用にも加工されています。まさしく地産池消。ヤクニク屋は害獣として扱われる鹿が、屋久島の資源の一部として見直され、しっかりと自然の恵みとして食されて欲しいという思いで4年程までに設立されたようです。猟師さんの高齢化や、安定した供給ができない点も課題してあるとの事でしたが、是非ともこの活動を続けていって欲しいものです。

肝心の鹿肉はシンプルに焼いて食べる。それが一番おいしいと田川さんにお勧めいただきました。『アルティメイトアイスクーラーⅡ/35L(アクア) 』で保冷して持ってきた鹿肉を取り出し、『ファイヤーディスク』の炭火にかけます。レバーや赤みの肉を焼き、わさび醤油などで食す。けものくささも一切なく、脂もない綺麗な赤み肉は、マイルドな味わいでいくらでも食べれる味わい。美味しくいただきました。

 

~お世話になった人・場所~

ヤクニク屋

~使用したコールマンギア~