たき火BARへの誘い Around the Fire

春から夏にかけて、毎週末のように続いたイベントのバー出店も、ひと段落。日没前、吉祥寺のショットバー「SCREW DRIVER」のオーナー、海老沢忍さんが、スタッフとともに向かったのは、東京湾アクアラインから30分ほどの雑木林の中のキャンプ場。打ち上げも兼ねた「お疲れさま会」として、たき火を囲みながら酒をとことんたのしむ、それが今回のテーマです。準備した食材は、酒をこよなく愛する3人だけに、いさぎよく酒とおつまみのみ。けれど、その分、中身にこだわるのがSCREW DRIVER流。用意したのは秋のたき火キャンプによく合う茶色いラムとスモーク。「ラム酒はカリブ発祥のお酒。大航海時代にカリブ諸国で誕生し、船乗りたちによって世界中に広まっていった“旅する酒”なんです。さとうきびが原料の蒸留酒という以外に、ラムの定義に細かいルールはありません。現在では世界中のあらゆる地域で、様々な製法でラムは作られているんです。そういう自由さ、旅感が、アウトドアにとてもよく合いますね。キャンプも旅だし、アウトドアは自由だから」海老沢さんは薪の火を育てながら、そう言います。

薄暮の空が光を失い、黒々と林立する木々を炎が幻想的に照らしはじめます。お待ちかねの一杯目は、ラムをジンジャーエールで割ったラムバック。グラスは海老沢さんがコールマンと共同で開発したアウトドアタンブラー。「キャンプ道具やファッションにはこだわるんだけど、お酒は缶ものを飲んだり、中の見えないマグカップに入れて飲んでいる。そこに違和感を感じたのがきっかけです。このグラスは10オンスサイズ(約300cc)。バーでもいろいろなカクテルに使われるスタンダードなもので、使いやすい大きさです」
こだわりのポイントを聞くと、「やはりグラスのふちの厚みですね。お酒は飲み口が薄いほうがおいしく感じられるので、耐久性はありながらも極力薄くしています。なおかつホットが飲めるよう100℃の熱にも耐えられるようになっています。それと、底部分にカットを入れているので、光できらめきます」その言葉どおり、たき火の灯りを受けて美しく光るグラスで酒を飲みながら、贅沢な時間が過ぎて行きます。やがて、お待ちかねのスモークの完成。

オーブンから出てきたのは、香ばしく燻された分厚いベーコンやソーセージ。夜の空気が冷たくなってくると、海老沢さんはパーコレーターで湯を沸かし、ホットラムをつくります。「食前、食中は泡ものが飲みやすい。そのあとホット系であたたまって、そしてだんだん面倒くさくなってストレートで飲むんですよね(笑)」この日のために用意した秘蔵ビンテージラムをさして笑います。「キャンプのよさは、眠くなればテントで寝られること。終電を気にせずに好きなだけ飲んで、自分のペースで寝られるのが最高ですよね。ラムをストレートでちびちび飲みはじめたころには、たき火も熾火に近づいて。・・・そんな時間が好きなんですよね」実は海老沢さん、来年の夏に向けて、南伊豆のビーチにバーを併設したキャンプ場オープンを構想中なのだとか。波の音を耳に、おいしいお酒を飲み、笑い合い、好きなときに寝る。それが海老沢さんのアウトドアリゾート。夢に向けて、語り合う3人をたき火のやわらかな炎がいつまでも照らしていました。

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