キャンプは子どもの
成長に良い!?
脳科学者に聞く、
ファミリーキャンプの
ススメ

キャンプやアウトドアは子どもの
成長に良いというイメージが漠然と
ありますよね。
今回は、東北大学加齢医学研究所 瀧 靖之教授をお招きして、
キャンプが子どもの脳に及ぼす影響についてお話を伺いました。
話を聞いてみると、なんと大人の脳にも良い影響があるそうです。

自然の中で、非日常を満喫できるキャンプ。

虫や木々に触れたり、ご飯をつくったりとさまざまな体験にチャレンジできることから、ぜひ子どもに経験させたいと思っている保護者も多いのでは。キャンプを通して、子どもの脳は成長しているのかを脳科学者 瀧先生に聞きました。

座談会参加者 プロフィール

瀧 靖之教授
(たき・やすゆき)

東北大学加齢医学研究所

医師、脳科学の研究者として脳の発達と加齢のメカニズムを研究。

根本 昌幸
(ねもと・まさゆき)

コールマン ジャパン マーケティング・デイレクター 

1992年入社以来、長年、日本市場に合った商品を開発などマーケティング活動全般を統括。

キャンプは子どもの脳の発達に良い!?

――脳科学的にみても、キャンプは子どもの脳の成長に良い影響を与えるのでしょうか?

瀧:

はい。まず、子どもの脳の領域の発達には順番があって、生まれてしばらくは、感覚にかかわる脳の領域や言葉を習得するような領域が、2~3歳では、知的好奇心にかかわる脳の領域が、3~5歳くらいになると、運動にかかわる脳の領域が発達します。さらに大きくなると、コミュニケーションにかかわる前頭前野の発達がさかんになります。

脳科学的には、この発達の時期にたくさんの刺激を与えることが効果的だとされています。
キャンプには、それぞれの発達フェーズにあった刺激があります。
特に時期・時間、天候などで全く違う様子をみせる自然の中では、好奇心の深さが無限大に広がっていきます。

キャンプで非認知能力が育まれる

非認知能力を育むという観点から見ても、自然に入ってキャンプするのは効果的だと瀧先生は言います。

自然の感動体験が自己肯定感を高める

瀧:

自己肯定感を高めるには、自然の中での感動体験が良いとする研究があります。海に沈む夕日などは、神秘的な美しさがありますが、これは子どもの非認知能力にもポジティブな影響を与えていると言われています。

――他にキャンプで自己肯定感を高める方法はありますか?

瀧:

わたしたちは、保護者の真似をしてさまざまな能力を獲得するんですよ。なので、大人自身が自己肯定感をもっていろんなことにトライすることが大事です。行動だけではなくて、気持ちや自己肯定感も模倣していくだろうと言われています。

根本:

「子どものためにキャンプに来た」という保護者に対して、「親御さんが楽しまないと、お子さんも楽しめないですからね」と言うんですけれども、正しかったわけですね(笑)。

脳の発達に良い子どものほめ方

瀧:

ほめられることは脳の発達にとても大事だとわかっています。ほめ方もポイントです。たとえば才能をほめてしまうと、才能を傷つけないように努力をしたがらなくなると。ところが、掛け算ができるようになる、逆上がりができるようになるとか、努力したことをほめると、「努力をすることが良いんだ」という認識になります。

キャンプで行う、テントはりやバーベキューのような非日常的な行動をほめてあげると、自己肯定感や脳の発達につながりますね。

学力にも関係する実行機能をキャンプで伸ばす

瀧:

物事の計画を立てるのは、実行機能という重要な機能なのですが、実は学業成績と関係すると言われています。いろんな情報をもとに、キャンプの計画を立てて、それをやり遂げるというのはすごくいいんですよ。

キャンプはレジリエンスを育む

瀧:

キャンプでは、何かを成し遂げる力がつきます。魚を釣る、山に登るなど。失敗したら失敗したで、どうしてそうなっただろうと考える。この過程で、やり抜く力が身につきます。

このやり抜く力は、自己肯定感を伸ばす上ですごく重要です。自己肯定感が高まることで、「レジリエンス」=「いろんな困難からの回復力」を高めることにつながると考えています。

キャンプは創造性を育む

根本:

子どもはよく棒や石を見つけて、ずっと遊んでるんですよね。普段は与えられたもので遊んでいるところを、自分で遊び道具をみつけてくるのです。

瀧:

「創造性」にもつながりますよね。これも大事な非認知能力の一つです。あるものをいろんな観点から見つめて、別の意味づけをする体験はすばらしいですね。

キャンプデビューは何歳が良いの?

キャンプの効果を知ると、実際に行ってみたくなりますね。

――キャンプは、脳科学的に何歳から始めると効果的ですか?

瀧:

何歳から始めても良いんです。生まれてすぐは愛着形成ですね。ファミリーキャンプで家族と密に話せる機会は効果的です。コミュニケーションの量は、日本語の獲得にも影響しますよ。もう少し大きくなれば知的好奇心、さらに大きくなれば運動、さらに成長すればコミュニケーションと成長するフェーズを考えると何歳にとっても良い刺激になります。

――年齢に応じた楽しみ方でおすすめはありますか?

根本:

注意や装備は必要ですが、「自分に合ったキャンプができる」のがキャンプの最大の楽しみです。幼児から大人まで、アクティブな人からじっとしていたい人まで。それぞれにあった場所や楽しみ方があります。

――どうやってキャンプを始めたら良いかわからないという不安の声も聞かれたりはしませんか?

根本:

護者の方は、自分にキャンプ経験がないと子どもを連れていけないという不安が大きいですよね。まずは、キャンプメーカーやアウトドアの団体の方が主催するキャンプイベントに参加するのも良いと思います。最初からテントに泊まらなくても、コテージもいいですし、グランピングを楽しむ施設もありますよ。

コールマン ジャパンでは、11月にキャンプイベント「The Coleman Camp」を開催予定です。レンタルの用意やサポートもあるので、キャンプに興味が湧いた方はぜひ参加してみてください。

キャンプは大人の脳の健康を維持してくれる!?

子どもの脳の発達にとって、とても良い影響があることがわかりました。では、大人の脳にも良い影響はあるのでしょうか。

――大人の脳にとってもキャンプは良い影響を与えてくれるのですか?

瀧:

はい。わたしたちが脳の健康維持をして、認知症リスクを下げるために、重要なのは運動、知的好奇心・趣味、会話・コミュニケーションです。実はそれらを経験できるキャンプはわたしたちにもいいんです。

それに、好きなことをやるというのは、実は私たちの脳を健康に保つうえですごく大事なんですよ。楽しいと感じることは、記憶力をはじめ脳のいろんな機能を高めます。

キャンプをする夫婦は仲が良い?

――以前、お話を聞いたご夫婦は、「キャンプをしている夫婦はすごく仲がいい」と話をされていました。家族仲にポジティブな影響はあるのでしょうか。

根本:

キャンプでケンカするご夫婦もいらっしゃるんですよね(笑)。でも、帰るときには仲直りしています。キャンプは、協力が必要なので、会話が生まれると元に戻っていきますね。

瀧:

一緒に何かをやるっていうのはすごく大事で、親子でも夫婦間もすごくいいですよね。みんなで困難を乗り越えなきゃいけないから、やっぱり一緒にやろうってなります。

いま、人間が求めているものが自然にある

本能的な緊張感からの開放

――娯楽が制限される日々が続く中で、自然や緑を欲している気がします。人間の本質的な欲求とは、どういったことなのでしょうか?

瀧:

私たちの日常は、トップダウンで、いろんなことを判断するくり返しなんですよね。
本能的にわたしたちは普段すごく緊張して、さまざまな周囲の環境を理解して、適切な行動を取らなければいけない。仕事でも、いつまでにこういうことをやらなきゃいけないとかありますよね。

ところが、自然の中の昆虫や景色はボトムアップでわたしたちに訴えかけてきます。自然を見ると、本能的な緊張から解放されるんです。この解放がわたしたちの脳に大事だと言われています。

キャンプの疲れはリフレッシュになる

――キャンプをされる方も日常からの解放を求めている方が多いですか?

根本:

最近は特にそうですね。「一泊二日でファミリーキャンプに行くなんて疲れるから、旅館の方が楽!」と思われるかもしれません。でも、実際にキャンプに行った方は「リフレッシュした!」って帰っていくんですよね。

いろんな人の話を聞いてると、「体を休めるのと、頭を休めるのはちがう」とよく言われます。何かを一生懸命やって、日常を忘れることがリフレッシュにつながるんですよね。一生懸命遊んで帰ると、身体的にはちょっと疲れが残るんですけど、心地よい疲れになります。

瀧:

何かに打ち込んで、集中して日々のストレスを忘れるというのは、すごく大事なことだなと思いますね。

家族でキャンプを楽しもう!失敗したっておもしろい!

――ご家族とキャンプをする際はどのようなことしていますか?

根本:

準備の段階から、役割分担を決めることが多いですね。買い出し担当とか、料理担当とか、テント立てる担当。それと、行きたい場所に行って何をするかっていうのを事前に話し合います。現地に着いたら、子どももみんな、ちゃんと与えられた仕事をやりますよ。

瀧:

まさに共感性コミュニケーションですね。

――キャンプの計画立てる時のポイントはありますか?

根本:

あれもこれもと詰め込みすぎるとストレスになっちゃうので、なるべくマイペースに、余裕をもつのがいいと思います。遊びにいくために一生懸命になってしまうと、本末転倒ですからね。

キャンプのアクシデントも、みんなで解決してキャンプを成功させるという気持ちになれば、成功体験になりますよね。達成感は得られるし、みんな楽しかったっていうことになりますよね。

――思い描く完璧なキャンプ像にならなくても良いんですよね

根本:

普段のルーティンの生活では失敗することが少ないですよね。でもキャンプに行くと、みんな初めてのことをやるので、失敗して当然なわけだし、その失敗がおもしろいんですよ。それに大きな失敗になればなるほど、記憶に残ります。日常からちがうところに行って、初めてのことを体験するのが楽しいのです。

瀧:

失敗はできないという価値観を壊すところから始めるのが大事かもしれないですね。
キャンプは、子どもの脳だけではなく、日々を忙しく過ごしている大人にとっても嬉しい効果がたくさんありました。ぜひ、家族みんなで自然の中でリフレッシュしてみては。

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